☆しげ

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相手を動かすには

「会社からのお願いでやってきました、なんて気持ちでやっているうちは、まったくうまくいきませんでした。会社名の三井不動産から始まるんじゃなくて、名前の北原から始まらないといけない。それで初めて、まともな交渉テーブルにつけるんです」論理的に伝えて納得させる手法もありますが、相手に合わせて感情にアプローチして納得してもらう手法があります。デキル人というのは、そういう手法を自分の仕事の中で見出し、ノウハウにしていくんですね。ビジネスコミュニケーションの研修の中では、論理の納得感・感情の納得感として伝えています。テクノロジーの変化で情報伝達手段やそのスピードは変化していますが、人そのものは大きく変わってはいないと思います。コミュニケーションの相手が人ならば、その相手を理解して伝える必要があります。それを理解するタイミングが早い人は、コミュニケーションスキルの向上も早いように思います。この記事の中には「石の上にも3年」という言葉が引用されています。人はそんなに変わっていないことを考えると、やはり3年位やってみてから評価・判断するべきだろうな、と思います。多くの若手に読んでもらいたいですね。特に先日の研修で悩みを話してくれたあの女性社員に。

行動を促すカギはどこに

私たちを行動に促すものは、思考と感情です。ただ、ここ最近はこの2つのうちの「感情」の重要性を強く感じています。組織でビジョンを掲げるところは少なくありません。ビジョンは組織としてどこを目指すのか。それは目標とは違い、もっと未来の目標、究極のゴールと言ってもいいでしょう。目標は個人でも掲げます。私もご多分に漏れず、年初に毎年目標を掲げます。組織でも同じ。特に組織の場合は目標が上から降りてくることがあります。部の目標数字が課の目標数字に分割され、それを更に分割して個人の目標数字になります。その数字を見て「よ〜っし、やるぞ〜!」と思えるのはひと握り。多くの人は「ふ〜、また増えてるよ〜」とか「こんな数字、どうやってやり遂げるんだよ〜」とぼやいているのではないでしょうか。頭ではわかっているのにできない。直したい癖があるのに直せない。変わりたいのに変われない。それって、感情に響いてないからではないでしょうか。「うぉ〜!マジか!乃木坂のコンサートがうちの街にやってくるのか!ぜってー行く!」という彼の感情は大きく動いていますし、何より頭の中にはわが町のホールに乃木坂46が来て歌っているイメージがありありと浮かんでいるのです。となると、感情が動く前に必要なことがあるわけです。それは、手に入れたい未来がありありと描けていること。明確なイメージが浮かんでいること。そのイメージに脳が騙され、すでに経験しているかのように感情を動かします。その感情を経験していることは事実です。その感情を経験します。そしてその感情はイメージするたびに湧いてきますので、イメージを現実のものにしようと行動を促します。強く促します。そうやって行動が促されるわけですね。ありたい自分の姿、夢、目標は聞こえのいい言葉だけではなく、具体的に表現できるかどうかがポイント。具体的であればイメージができます。イメージができれば感情が沸き立ちます。この感情が人の行動を強く促すのだと、あらためて最近理解しました。個人も組織も、感情が沸き立つようなビジョンを掲げることが必要ですね。

企業側から見た「いい講師」の条件

もう10年ほど前に、企業の人財育成部門で部門リーダーをやらせていただいていた頃にまとめたものです。いま読んでも「そうだよなぁ」と共感できるところが多く、これはある程度の普遍性を持っているかもしれないと思いました。いくつかの加筆修正を加えた上で、ここへ備忘録のためにも共有のためにも挙げておきたいと思います。1. 自社を理解してくれている必ず事前打ち合わせに参加し、自社の業務概要、考え方、働き方、組織文化などを理解した上で、研修ニーズを理解していること。事前の打ち合わせは必須であり、ここでお互いに共感出来る部分を見いだせるかどうかがポイント。自社の話を受けて、どう反応するかを確認します。同調した上で講師自身の意見を述べ、その内容にこちらが共有できるかどうかもポイントになります。それを踏まえ、研修の中で「御社の○○という方針は・・・」や「社長さんが月刊○○でこんなことをお話しされてますよね」など、受講者が聞いて「この人は自社のことをわかっている人だ」と思わせることができるかどうかがポイントです。2. 2Wayコミュニケーションができる一方的に話をするのではなく、2Wayコミュニケーションができる講師は、受講者からの評価が高くなります。受講者を巻き込みながら受講者自身に発言させたり、またその意見をポジティブに受け入れてくれる人は、受講者の自己満足感や重要感を向上させるので、受講姿勢を前向きにする効果も与えてくれます。結果的に高評価の研修になる傾向があります。3. 受講者同士のコミュニケーションの機会を作る講師対受講者だけでなく、受講者同士が話せる場を作れる講師は、受講者の「受け身」な学び方ではなく、自らが気づく主体的な学び方を促進することができます。グループワークや、組み合わせを変えながらのペアワークなどを活用できる講師が望まれます。研修という場は、普段は話さないような社員と交流できる機会にもなります。この機会を活かす場作りができると、受講者には研修での学び以上のメリットが提供できます。受講者が自分の意見を話すことができ、お互いに共感したり、それを深めていくことを通じて、お互いをよく知り合うことができるからです。4. 自分の経験/体験談を話す本に書いてあるような一般論や理論ではなく、自分の経験談や体験談に照らして話す人は受講者に受け入れられる傾向にあります。受講者はその話に納得感を感じ、場合によっては自分の体験に照らして聴くことで、さらなる納得感の向上へとつながります。また、自分が読んだ本、聞いた話などもこれに含まれ、講師が持っている知識・理論以外の周辺情報をどれだけ受講者に提供できるかは講師の幅と深さを感じさせ、受講者の研修参加への満足感にもつながります。5. 共感と感動を提供できる自社流のことばや独自用語を使ってくれれば、講師に対する「この人はよその人」というような受講者の精神的な壁を取り払うことができるようです。また、同じような業務経験を持っていることも受講者の共感を得やすいでしょう。論理的に伝えるだけではなく感情的なアプローチを使うことができる講師は、人間的な深みや親近感を受講者に与えることができますし、それだけの引き出しを持っているとも評価できます。いかがだったでしょうか。企業側の人のみならず、講師として活躍する皆さんにも参考になればと思います。