企業側から見た「いい講師」の条件

もう10年ほど前に、企業の人財育成部門で部門リーダーをやらせていただいていた頃にまとめたものです。

いま読んでも「そうだよなぁ」と共感できるところが多く、これはある程度の普遍性を持っているかもしれないと思いました。

いくつかの加筆修正を加えた上で、ここへ備忘録のためにも共有のためにも挙げておきたいと思います。


1. 自社を理解してくれている

必ず事前打ち合わせに参加し、自社の業務概要、考え方、働き方、組織文化などを理解した上で、研修ニーズを理解していること。

事前の打ち合わせは必須であり、ここでお互いに共感出来る部分を見いだせるかどうかがポイント。自社の話を受けて、どう反応するかを確認します。同調した上で講師自身の意見を述べ、その内容にこちらが共有できるかどうかもポイントになります。

それを踏まえ、研修の中で「御社の○○という方針は・・・」や「社長さんが月刊○○でこんなことをお話しされてますよね」など、受講者が聞いて「この人は自社のことをわかっている人だ」と思わせることができるかどうかがポイントです。


2. 2Wayコミュニケーションができる

一方的に話をするのではなく、2Wayコミュニケーションができる講師は、受講者からの評価が高くなります。

受講者を巻き込みながら受講者自身に発言させたり、またその意見をポジティブに受け入れてくれる人は、受講者の自己満足感や重要感を向上させるので、受講姿勢を前向きにする効果も与えてくれます。結果的に高評価の研修になる傾向があります。


3. 受講者同士のコミュニケーションの機会を作る

講師対受講者だけでなく、受講者同士が話せる場を作れる講師は、受講者の「受け身」な学び方ではなく、自らが気づく主体的な学び方を促進することができます。グループワークや、組み合わせを変えながらのペアワークなどを活用できる講師が望まれます。

研修という場は、普段は話さないような社員と交流できる機会にもなります。この機会を活かす場作りができると、受講者には研修での学び以上のメリットが提供できます。受講者が自分の意見を話すことができ、お互いに共感したり、それを深めていくことを通じて、お互いをよく知り合うことができるからです。


4. 自分の経験/体験談を話す

本に書いてあるような一般論や理論ではなく、自分の経験談や体験談に照らして話す人は受講者に受け入れられる傾向にあります。受講者はその話に納得感を感じ、場合によっては自分の体験に照らして聴くことで、さらなる納得感の向上へとつながります。

また、自分が読んだ本、聞いた話などもこれに含まれ、講師が持っている知識・理論以外の周辺情報をどれだけ受講者に提供できるかは講師の幅と深さを感じさせ、受講者の研修参加への満足感にもつながります。


5. 共感と感動を提供できる

自社流のことばや独自用語を使ってくれれば、講師に対する「この人はよその人」というような受講者の精神的な壁を取り払うことができるようです。また、同じような業務経験を持っていることも受講者の共感を得やすいでしょう。

論理的に伝えるだけではなく感情的なアプローチを使うことができる講師は、人間的な深みや親近感を受講者に与えることができますし、それだけの引き出しを持っているとも評価できます。


いかがだったでしょうか。

企業側の人のみならず、講師として活躍する皆さんにも参考になればと思います。


改めて読んでみると、自分が講師としてやっていることばかりでした。

逆に言えば、他にもあるかもしれないのに、私自身ができていないということがあるのかもしれません。

経験を積むことで、さらにこの内容に付加できるものが挙げられるよう、私も精進していきたいと思います。



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